概要
練馬区では昭和37年(1962年)に最初の図書館である練馬図書館が開館して以来、区民にとって「いつでも、どこでも、誰でも」利用できる図書館をめざし、施設の整備・サービスの充実に努めてきました。南田中図書館はその計画に沿って建設された練馬区で12番目の図書館として平成21年(2009年)5月1日に開館。地域住民への資料提供はもちろん、地域の人々の交流も含めた地域文化の拠点となり情報文化センターの役割を担うとともに、図書館を利用しづらかった方(高齢者、乳幼児とその保護者、身障者など)や図書館を利用してこなかった方にとっても気軽に使えて身近に感じる“ご近所図書館”をめざしています。
最大の特徴は、区立南田中小学校と合築された施設であることです。南田中小学校を含む近隣小中学校6校に対し、「学校支援モデル事業」を展開。学校と区立図書館との連携を図るとともに、児童・生徒の「調べ学習」への支援を行っています。
「地域のための図書館」というあり方を実現するために、近隣施設と連携したイベントの開催。また、地域に役立つ情報を発信するため「南田中図書館だより」を年12回発行。さらに練馬区内の図書館として初めてICタグを導入し、貸し出しや返却を迅速に処理する利便性を重視したサービスにも取り組んでいます。
◆施設概要
構造 | 鉄筋コンクリート造・地上2階 |
敷地面積 | 11,983.19㎡ |
延床面積 | 920.03㎡ |
◆蔵書数(平成26年3月31日現在)
一般書 | 61,236冊 |
青少年向け | 5,908冊 |
児童書 | 33,615冊 |
新聞 | 24紙 |
雑誌 | 140誌 |
CD | 5,187タイトル |
公共ビデオ | 61タイトル |
その他視聴覚資料 | 26タイトル |
施設
南田中図書館は2階建てで入り口は正面玄関と公園側入り口の2カ所あります。1階は一般書架、雑誌・新聞、AVコーナー、飲食コーナーなど、2階は青少年コーナー、児童コーナー、幼児コーナー、会議室などがあるレイアウト。2階部分のおよそ半分が吹き抜け構造で、開放感のあふれる空間が魅力です。
ここもポイント!~環境問題に取り組む図書館
都内でも豊かな自然に恵まれている練馬区ですが、都市化に伴い、環境が大きく変化しました。南田中図書館は建設計画の段階から「環境」をキーワードにしてきました。屋上に設置した太陽光パネルのデータ(現在の日射量・電力、今年の太陽光発電電力量など)を電光掲示板や環境パソコンで表示。環境について学ぶための蔵書をそろえた「環境コーナー」を設けるとともに、環境関連図書を集めて、環境に関するテーマ展示も行っています。
ここもポイント!~読書が困難な人をサポート
マルチメディアDAISYとはパソコンで文字や写真などを画面に表示しながら音声で読み上げてくれる電子書籍です。視覚に障害のある人たちだけではなく、小さい文字が見えにくい高齢の方、知的障害者、学習障害者(LD)など、読書に困難を感じている人たちそれぞれのニーズに配慮した資料として活用できます。
ここもポイント!~本のある暮らしを提案
練馬区立大泉図書館、貫井図書館、南田中図書館で発行している小冊子「練馬ブックマップ」。練馬区の図書館、書店・古書店や、本が借りられる喫茶店などの“ブックスポット”を100カ所以上掲載しています。冊子のテーマは「本のある暮らし」。ちひろ美術館をはじめとする施設・お店のワンポイント解説もユニーク。文庫本調のデザイン、ポップなイラストが本を求めて街を散策する気分を促します。
図書館からのメッセージ
練馬区立南田中図書館
館長 正子敦司さん
練馬区立南田中は住宅地でありながら近隣に図書館がありませんでした。練馬区立南田中小学校の体育館の老朽化に伴う建築計画で、小学校と同じ敷地内に建設されたのが練馬区立南田中図書館です。練馬区で12番目の図書館として平成21年(2009年)5月に開館しました。
図書館は公共施設の中でも誰でも利用できる間口が広い施設です。もっと地域の方にその存在価値を知っていただき、ふだんの生活に役立ててほしいと願い、さまざまな取り組みにトライしてきました。単なる図書サービスだけではなかなか地域の皆さんとの交流を深めることができません。地域情報の発信源、街づくりの拠点となる情報文化センターの役割を果たすことが大切だと思っています。学校図書館への図書館員の派遣や、石神井・井草・井荻・大泉エリアのコミュニティ活動「井のいち文庫」へのサポートなど、具体的な活動も活発になってきました。
館内において高齢者や児童を対象とした図書サービスを充実させることはもちろんですが、これからは館外にも積極的に出て、住民の皆さんの暮らしの役に立つ存在にならなくてはなりません。住民の皆さんに親しまれる“ご近所図書館”をめざしていきたいと思います。
EDITORIAL NOTE① 図書活動を支える学校図書館支援員の働き
練馬区では、学校支援モデル事業を展開しており、学校と図書館の連携による教育活動の推進を図っている。現在、区立図書館7館が小中学校合わせて60校で実施されている。
南田中小学校の敷地内に合築された練馬区立南田中図書館は小学校と通路でつながっている。南田中図書館には学校図書館支援員がいるのが特徴だ。支援員は週に2〜3日決められた日に、学校図書館に通い、本の整理から先生のリクエストに合わせた資料の用意、展示の飾り付け、図書だよりの作成など、さまざまな業務に就き、学校図書館の支援に携わっている。5年目を迎える現在、この取り組みが大きな成果を出しつつある。隣接する南田中小学校の学校図書館の本の貸し出し冊数は5倍に増え、子供たちの読書意欲の向上が実証された。このような取り組みは、ほかの地域の図書館関係者にも注目されている。図書館の存在価値を再認識してほしいと願うだけでなく、改めて、図書館利用促進プロジェクトへの意欲が湧いてくる。(中嶌文庫)
EDITORIAL NOTE② 手作りで醸す“ご近所感”
南田中図書館は練馬区でも新しい図書館だが、施設というハードではなく、手作り感のあるソフト面に印象が残った。今では図書館スタッフや図書館利用者が作った手製のオブジェを館内のフリースペースに飾る図書館が増えたが、そのオブジェも南田中図書館の掲げる“ご近所図書館”らしかった。取材時に階段の踊り場に飾られていたのは、松ぼっくりを使った可愛らしい人形。この松ぼっくりは図書館の近所、曼荼羅寺観蔵院の境内で集めてきたものなのだそうだ。
地域密着は展示物ばかりではない。南田中図書館では「練馬の名族豊島氏」という小冊子を発行。郷土資料には子供向けの本が少ないという現状をかんがみて、「近年盛んになっている調べ学習や、学校の授業、また地域に興味をもった子供たちが地域の事柄を調べる際の、ひとつの手がかりとして作成」したもの。さまざまな参考文献を子供向けにやさしく要約した内容はまさに手作り感を漂わせている。(上原由迩)
練馬区立南田中図書館
利用案内
開館時間:平日9:00~20:00 土・日曜・祝休日:9:00~19:00
休館日:毎月第3月曜日を除く月曜日(祝日の場合は、その翌日) 年末年始(12月29日~1月4日) 特別館内整理期間
アクセス
住所:〒177-0035 東京都練馬区南田中5-15-22 地図
電話番号:03-5393-2411
ホームページ:https://www.lib.nerima.tokyo.jp/