月別アーカイブ: 2015年2月

墨田区立ひきふね図書館

外観

クローバー概要

墨田区立ひきふね図書館は、寺島図書館とあずま図書館が統合移設し、平成25年(2013年)4月1日に開館しました。館内には最新設備が導入されており、書庫(閉架)に保管された資料を素早く取り出せる「自動出納書庫」を23区で初めて採用したほか、自動貸出機も設置するなど利便性を追求。駅近という立地の良さも相まって、開館から1年で約53万人もの来館者を記録しました。また、区のボランティアリーダー育成講座の修了者を中心に結成された「墨田区ひきふね図書館パートナーズ」と区が協働し、資料などを活用した催しや展示を企画・実行し、好評を博しています。館内のところどころに配された、墨田区の下町情緒を彷彿させるジオラマや墨田区の伝統工芸品は、ミュージアム的な要素も果たしています。

◆施設概要

床面積 3393.04㎡

◆蔵書数

図書 257,268点
雑誌 29,295点
視聴覚資料 6,365点
総計 292,928点

クローバー施設

ひきふね図書館は、京成押上線・京成曳舟駅新駅舎前にある複合再開発ビル「マークフロントタワー曳舟」の2~5階にあります。2階が図書館入り口ですが、一般の図書館と、こどもとしょしつは入り口が分かれており、小さな子供とその保護者が気兼ねなく利用できるような配慮がなされています(授乳室あり)。閲覧スペースは3・4階に設置していて、予約制の個人用学習席が全部で82席、閲覧隻(自由席)は45席(車いす専用席3席含む)あります。

2階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

2階

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(左)エントランス。(右)総合カウンター

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(左)カウンターを利用しなくても本の受け取りが可能な予約資料ルーム。(右)各種イベントや展示などが開催されるプロジェクトコーナー

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館内は江戸情緒にあふれている。図書館エントランス内・頭上にある江戸切子を使った装飾(左)と江戸切子のランプシェード(右)

こどもとしょしつ

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(左)こどもとしょしつのエントランス。(右)こどもとしょしつのカウンター

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(左)“ひきふね”らしい船のオブジェが目をひく館内。(右)「もうすぐ春だね」をテーマにした展示コーナー

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(左)はだしのコーナー。(右)こどもとしょしつの書架

3階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

3階

(左)雑誌コーナー。(右)隅田区ゆかりの作家コーナー

(左)雑誌コーナー。(右)隅田区ゆかりの作家コーナー

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(左)CD・DVDコーナー。(右)インターネットコーナー

(左)新着図書コーナー。(右)閲覧席(予約席)

(左)新着図書コーナー。(右)閲覧席(予約席)

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(左)学習席(予約席)。(右)閲覧席(自由席)

4階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

4階

(左)英語多読コーナー。英語多読とは、やさしい本から始めて、辞書を使わずに、わからないところは飛ばしながらたくさんの本を読むことで、英語がいつの間にか身につく方法。(右)すみだ文化講座関連展示コーナー

(左)英語多読コーナー。英語多読とは、やさしい本から始めて、辞書を使わずに、わからないところは飛ばしながらたくさんの本を読むことで、英語がいつの間にか身につく方法。(右)すみだ文化講座関連展示コーナー

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(左)往時の墨田の街並を模したジオラマ。(右)墨田区の文化・歴史に関する情報コーナーには墨田区名誉区民の王貞治のコーナーも設置

5階◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

5階


 クローバーここもポイント!~墨田区ひきふね図書館パートナーズ

図書館に望ましい事業・サービスを利用者の目線で考え、実現するための企画を提案し、「墨田区協治(ガバナンス)推進条例」に基づき、図書館との協働で実施しているボランティア団体が「墨田区ひきふね図書館パートナーズ」です。これまでに、館内での「ぬいぐるみお泊まり会」や「コンサート」、大人を対象とした「絵本読書会」など、区民の視点で考えたユニークな催しを実施してきました。また、区内在住の中学生が同世代向けの催しを企画したり、館内の本を活用した「ビジネス支援講座」も実施。平成26年(2014年)8月には、まちライブラリーを実施している全国の団体の中から、区民と行政が協働で活動し、まちづくりに貢献していることが評価され、「マイクロ・ライブラリーアワード」を受賞しました。

 クローバーここもポイント!~障害者向けサービスも充実

さまざまな障害がある方のために、音訳資料や拡大写本、点字図書を作成し、提供しています。視覚・視野の障害のある方や、弱視・高齢で細かい文字を読むことが困難な方には、大きな活字で印刷された「大活字本」や、手書き・ワープロで大きな字にした「拡大写本」、音訳資料(録音テープ、CD-ROM)、点字図書等を貸し出しています。また、点訳や対面朗読などのサービスも行っています。

 クローバーここもポイント!~すみだゆかりの人物コーナー

芥川龍之介や永井荷風など、すみだにゆかりのある文豪の著作や資料が紹介されているコーナーも設置。また2016年度に両国駅近くに「すみだ北斎美術館」がオープンすることから、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の作品パネルや資料なども展示しています。
※北斎は、すみだで生涯のほとんどを過ごし、数多くの作品を描きました。

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(左)葛飾北斎コーナー。(左)富嶽三十六景の復刻版版画を展示

クローバーここもポイント!~温もり感あふれる工芸品の数々

書架や階段の壁面に作られた展示コーナーには、革の団扇や江戸切子など、さまざまな工芸品が紹介されています。
また、昭和の風景や銭湯の様子をモチーフにした模型など懐かしさも相まって楽しい作品の展示もあります。文豪の特集コーナーにある芥川龍之介や永井荷風ら墨田区ゆかりの文人の小さなレプリカも、それぞれ表情をよくとらえており、一見の価値があります。

(左)江戸切子のグラスを展示。(右)日本で唯一の手作りふうせん。作り方を解説

(左)江戸切子のグラスを展示。(右)日本で唯一の手作りふうせん。作り方を解説

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3階の墨田区文人ゆかりのコーナーに展示されている文人のレプリカ。芥川龍之介(左)と永井荷風(右)

クローバーここもポイント!~自動出納書庫の導入によってより効率アップ

自動出納書庫は閉架書庫に収められている該当資料を自動的に取り出すことを可能にした機器です。児童出納書庫の導入によって、図書館員の仕事を軽減するだけでなく、利用者に本を早く手渡すことができます。

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近代的な自動出納書庫


 クローバー図書館からのメッセージメッセージ
墨田区立ひきふね図書館
主査 南部友孝さん

墨田区立ひきふね図書館は、京成曳舟駅にほど近い再開発ビルの2~5階にあります。エントランスにはすみだ伝統の江戸切子を用いた意匠が施され、館内には地元の銭湯や昭和レトロな雰囲気で知られる商店街などのジオラマ、ゆかりの作家コーナーなどを設置しています。本の貸し出しについては、自動貸出機や自動出納書庫を設置し、資料予約も自動と、最新システムが導入されており、利便性が高くなり好評をいただいておりますが、機械の操作に抵抗のある方には、もちろんカウンターで係の者が対応いたします。
また、貸し出しの増加を狙うだけではなく、「ひきふね図書館パートナーズ」と協働して実施している各種イベントなどを通して、墨田区の情報を発信する図書館をめざしています。毎回盛況に開催しているイベントは、パートナーズさんたちが企画してくださっていて、われわれ職員には思いもつかないようなユニークなものばかりです。最近では、区内の中高生による落語会やビブリオバトルなども行っています。人と人が交わることによって新しいものが生まれ、それが活発化していくきっかけの場となれるよう、これからもさまざまなことに取り組んでいきたいと考えています。


 クローバーEDITORIAL NOTE① 何人も受け入れるオールマイティーな図書館

ひきふね図書館は、貸出システムや資料の予約など、館内の運営が自動化されている。CDやDVDといった視聴覚資料はカウンターに返却しなければならないのだが、本は基本的に、職員と接することなく貸し出しと返却の手続きを行うことができる。利便性を追求した結果、はからずも他者との接触を好まない現代人のニーズにも合致した図書館となったのだ。
一方で、館内において各種イベントを企画する「ひきふね図書館パートナーズ」には、近所付き合いを大切にしてきた下町っ子ならではの気質が垣間見える。取材に訪れた時には、「ひきふね図書館で借りた本を持って地元の商店街に行くとお得なサービスを受けられる」という、地元商店街とタイアップしたユニークな企画も実施。ただ読書するだけではなく、人と人を結びつけ、さらに地域とのつながりをもたらす空間としての役割も果たしている。
個を好む人も他者とのつながりを持ちたい人も受け入れるオールマイティーな図書館として、これからも多くの来館者を迎えることだろう。(森中要子)

クローバーEDITORIAL NOTE② 実績が図書館の働きをより活発に

まちづくりに貢献していることが評価され「マイクロ・ライブラリーアワード」を受賞した「ひきふね図書館パートナーズ」。彼らとの連携によって、さまざまなイベントが開催され、新しいスタイルで図書館の利用価値を高めようとしている姿勢がうかがえる。一方、図書館の取材を通じて耳にするのが知的書評合戦「ビブリオバトル」と図書館振興財団主催の、学校図書館と図書館を利用して調べてまとめあげた作品で競う「調べる学習コンクール」。どちらも、図書館との接点が深いイベントであるが、この取り組みは全国で注目され、ひきふね図書館でも意欲的に取り組んでいる。特に今年の「調べる学習コンクール」では、近隣の小学生が文部科学大臣賞を受賞し、図書館側にとってもうれしい知らせが届いた。
こういった地域との関わりによって図書館の利用価値が高まっていくことは、図書館が今後、コミュニティー形成の核となるための意欲向上につながるはずだ。まだまだ伸びしろのある図書館に出会えることは今後も図書館が必要不可欠な存在である証だと実感する。(中嶌文庫)


 ビル墨田区立ひきふね図書館

利用案内
開館時間:月~土曜日(祝日を除く) 9:00~21:00/こどもとしょしつ 9:00~18:00
日曜日・祝日 9:00~17:00
休館日:館内整理日・年末年始・特別整理期間

アクセス
住所:〒131-0046  東京都墨田区京島1-36-5 地図
電話:03-5655-2350
ファックス:03-5655-2351(障害者用)
ホームページ:http://www.library.sumida.tokyo.jp/