月別アーカイブ: 2016年7月

荒川区立南千住図書館

全景クローバー概要

荒川区立南千住図書館は平成10年(1998年)5月1日に開館しました。荒川に関する考古・歴史・民俗資料を、荒川の通史に基づき展示公開している荒川ふるさと文化館と併設されています。
南千住図書館では、特にビジネスコーナーと医療健康情報コーナーに力を入れ、配架や資料の展示に工夫をこらしています。

◆施設概要

 敷地面積  2,723.96㎡
 建築面積  5,270㎡
 延床面積  2,686.10㎡
 構造規模  鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上4階、地下1階、塔屋のうち2階、3階、4階部分

◆蔵書数(平成27年3月31日現在)

 一般書  18,6751冊
 児童書  44,718冊
 地域行政資料  26,460冊
 HS資料  2,897冊
 新聞  20紙
 雑誌  384誌 20,056冊
 CD  1,1991点
 カセットテープ  2,259点
 ビデオテープ  2,594点
 DVD  1,535点
 16ミリフィルム  934本
 学校教育用ビデオDVD  716点

クローバー施設

3階(一般フロア)◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

南千住図書館3階案内図

一般フロア出入口(左)とエントランスに設置された飲食コーナー(右)

一般フロア出入口(左)とエントランスに設置された飲食コーナー(右)

一般フロアのカウンター(左)と検索パソコン(右)

一般フロアのカウンター(左)と検索パソコン(右)

(左)新刊コーナー。(右)無線LANコーナー

(左)新刊コーナー。(右)無線LANコーナー

一般フロア書架。特にビジネスコーナーと医療健康情報コーナーが充実している

一般フロア書架。特にビジネスコーナーと医療健康コーナーが充実している

(左)健康情報提供コーナー。(右)ビジネス特設コーナー

(左)健康情報提供コーナー。(右)ビジネス特設コーナー

(左)地域行政資料コーナー。(右)大型活字本コーナー

(左)地域行政資料コーナー。(右)大型活字本コーナー

ティーンズ専用のエリア。コミックも充実(右)

ティーンズ専用のエリア。コミックも充実(右)

(左)新聞コーナー。(右)雑誌コーナー

(左)新聞コーナー。(右)雑誌コーナー

(左)CDコーナー。(右)ビデオコーナー

(左)CDコーナー。(右)ビデオコーナー

一般フロアの閲覧席。座席数は125

一般フロアの閲覧席。座席数は125

2階(児童フロア)◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

児童室

児童フロア出入口(左)とエントランスに設置された飲食スペース

児童フロア出入口(左)とエントランスに設置された飲食スペース(右)

(左)児童フロアのカウンター。(右)新刊コーナー

(左)児童フロアのカウンター。(右)新刊コーナー

児童書は4万冊以上を所蔵。あかちゃん本コーナー(右)も設置

児童書は4万冊以上を所蔵。あかちゃん本コーナー(右)も設置

懐かしい紙芝居のコーナーもある(左)。こどもの情操教育に役立てたい布で作られた絵本(右)

懐かしい紙芝居のコーナーもある(左)。子どもの情操教育に役立てたい布で作られた絵本(右)

児童フロアの閲覧席(左)とカーペットルーム(右)

児童フロアの閲覧席(左)とカーペットルーム(右)


クローバーここもポイント!~10代のためのティーンズコーナー

ティーンズコーナにあるポップな情報誌は、公募した中高生スタッフが作成したもので、オススメ本やイベントの紹介をしています。毎回趣向を凝らした誌面で、利用者を楽しませてくれます。また、ティーンズスタッフは、マンガをテーマにした「君にも描ける!? マンガ入門」や「夜の図書館から脱出せよ!!~古文書の謎~」のほか、「納涼!ビブリオバトル」など、10代向けのイベントにも企画から参入して、図書館のイベントを盛り上げています。

ティーンズコーナーに設けられたイベントレポート掲示板

ティーンズコーナーに設けられたイベントレポート掲示板

クローバーここもポイント!~荒川区ゆかりの著名人たちの著書と資料

東京の下町の風情を残す荒川区はたくさんの著名人と所縁がありました。南千住図書館の地域行政資料コーナーには著名人たちの著書と資料が多数揃えられています。中でも目をひくのが吉村昭コーナー。吉村は昭和2年(1927年)に東京府北豊島郡日暮里町大字谷中本(現在の東京都荒川区東日暮里)に生まれました。4度も芥川賞候補になるも、果たせなかったことで知られています。
吉村以外にも木村伊兵衛、古今亭志ん生などのコーナーもあります。木村は明治34年(1901年)、 東京市下谷生まれた、日本を代表する写真家です。大正13年(1924年)から日暮里で写真館を開業し、昭和49年(1974年)に亡くなるまで日暮里で暮らしました。生まれ育った東京の下町や銀座周辺とそこに生きる人々の日常を、独自の視点でとらえた写真は必見です。志ん生は明治23年(1890年)生まれ。20世紀の落語界を代表する名人と称されています。放蕩の生涯を送った落語家ですが、61歳で荒川区西日暮里に初めての持ち家を建てています。志ん生コーナーには、志ん生の波乱の人生や価値観を考察する著書が並んでいます。

(左)吉村昭著書コーナー。(右)地域行政資料コーナーには木村伊兵衛の著書も並ぶ

(左)吉村昭著作コーナー。(右)地域行政資料コーナーには木村伊兵衛の著書も並ぶ

クローバーここもポイント!~東京藝術大学の卒業・修了制作作品を展示

荒川区は平成20年(2008年)に東京藝術大学と「芸術・文化振興のための連携に係る合意書」を締結しました。荒川区では東京藝術大学の卒業・修了制作の作品(荒川区長賞受賞作品)を区内各所に設置していますが、南千住図書館内にも東京藝術大学の卒業制作作品を展示しています。2階児童フロアのエントランスには平成26年度第9回荒川区長賞を受賞した「空に舞う」(作・池田浩樹)、児童フロア内には同じく平成26年度第9回荒川区長賞を受賞した「話し」(作・北郷江)を展示。来館者の目を楽しませてくれます。

(左)夢と希望を抱いたサザエをモチーフにした「空に舞う」。(右)アルマジロなど、動物たちをモデルにした「話し」

(左)夢と希望を抱いたサザエをモチーフにした「空に舞う」。(右)ワオキツネザル、イノシシ、アルマジロをモデルにした「話し」


中嶋さん(左)と薄場さん(右)

田窪館長(右)と中嶋係長(左)

荒川区地域文化スポーツ部図書館課長
荒川区立南千住図書館長 田窪和美さん

荒川区地域文化スポーツ部図書館係
サービス係長 中嶋良行さん

荒川区立南千住図書館は、学校の統廃合によって三ノ輪橋近くから場所を移し、平成10年(1998年)に開館しました。荒川ふるさと文化館と併設されているので、こちらで開催されている企画展の内容に合わせて展示コーナーを設けたり、イベントを開催しています。今後もさらに文化館との連携を強化しようと考えています。
荒川区では、俳句文化の裾野を広げ、豊かな俳句の心を育むことをめざして、「荒川区 俳句のまち宣言」(平成27年3月14日)を行いました。とくに南千住は松尾芭蕉の矢立初めの地なので、“おくの細道”に因んだイベントも開催しています。俳句の歴史的な部分を文化館とともに掘り下げていけたら、と思っています。
当館は荒川区子ども読書活動推進計画に基づき、子どもたちが読書に親しむきっかけづくりにも取り組んでいます。家庭、学校、図書館に加えて地域全体で子どもの読書活動を活性化させるのが狙いです。平成27年度は、7月には「納涼」をテーマとしたビブリオバトルを開催し、12月には、人気アニメのマンガ家とマンガコースの大学准教授をお招きして「君にも描ける!マンガ入門」をテーマにキャラクターの作り方や動かし方など、マンガの描き方の基礎を学ぶイベントを開催しました。
南千住図書館では、指定管理制度は導入せず、荒川区が直接運営しているので、さまざまな決定事項のスピードも速いです。司書として関わっているスタッフは異動もなく、長く図書館の仕事に関わってきたベテラン揃いです。効率性だけではなく、サービスの質を落とさず、情報の蓄積と質の担保を念頭におきながら図書館運営にあたっています。図書館内で催すイベントはもちろん、地域のお祭りへの参加、リサクル図書の販売など行いますが、そこには本のことを熟知している司書のノウハウが活用されています。図書館のPRだけではなく、地域における本を読む環境づくりが大切だと考えています。
荒川区では学校図書館の蔵書も一定基準を超えています。学校司書とも連絡会などで連携を図っています。また、中学生が幼稚園の子どもたちに読み聞かせをするために、司書が中学生にその指導を行うなどの取り組みもしています。ほかにないアプローチで学校図書館の支援に取り組んでいきたいです。

平成29年(2017年)3月には、図書館、吉村昭記念文学館、子ども施設が一体となった「ゆいの森あらかわ」が開館予定です。「ゆいの森あらかわ」は図書館の機能を果たしつつ、郷土愛の醸成や文学に親しむきっかけづくりを行う複合施設です。荒川区の新しい文化・情報発信の拠点となりますが、南千住図書館で培ったノウハウも生かしていきたいと考えています。


クローバーEDITORIAL NOTE① 柳田邦男氏による子どものための読書活動

南千住図書館に設けられた「柳田邦男さん こころを育てるおすすめ絵本コーナー」は特筆だ。荒川区では、ノンフィクション作家として知られる柳田邦男氏の賛同を得て、「柳田邦男絵本大賞」を実施している。社会が理想とする人格形成をめざした“徳育”の懇親会員である柳田氏は、執筆、翻訳、講演などを通して、優れた絵本を全国に紹介し、子どもの絵本の読書活動を推進している。中でも柳田氏の名を冠とした「柳田邦男絵本大賞」は全国でも初めてだという。作家や評論家としての顔しか知らなかった著者にとっては、意表を突いたコーナーだ。絵本とは、心を豊かにし、人生をより深く生きるために大切なものであると実感した。(中嶌文庫)

柳田邦男「こころを育てるおすすめ絵本コーナー」

柳田邦男「こころを育てるおすすめ絵本コーナー」

クローバーEDITORIAL NOTE② 図書館周辺の散策も楽しみ

南千住を訪れたのは初めてであった。南千住図書館はJR・地下鉄日比谷線の南千住駅から徒歩15分ほどの場所にある。図書館に行くには南千住駅の西側の旧日光通りを歩くのだが、そこは「コツ通り商店街」が呼ばれている。商店街の人々が下町らしくコツコツと働くため、その名称になったのか? 一説によるとその辺りには、かつて江戸三大刑場のひとつ、小塚原刑場があり、その跡地ではどこを掘っても人骨が出るため、「コツ通り」と呼ばれるようになったともいわれている。真偽のほどは定かでなないが、そのミステリアスな噂が、昭和の風情を残す商店街と奇妙にマッチしているように思えた。
商店街を抜けると、延暦14年(795年)に役小角の弟子・黒珍が、牛頭天王・飛鳥権現の二柱の神が降臨した奇岩を祀って創建したと伝えられる素盞雄神社があり、その隣が荒川ふるさと文化館(南千住図書館)となる。文化館の前には「橋本左内の墓旧套堂」が建つ。旧套堂は墨田区両国の回向院にあった橋本左内の墓を保護するために昭和8年(1933年)に造られたもの。平成21年(2009年)3月に荒川区に寄贈され、文化館の前に復元された。
15分の徒歩を長いとみるか、短いとみるかは人それぞれだが、こと南千住図書館に関しては、それが初めてであるならば、ぜひ駅から歩いて訪れてみてほしい。図書館で調べてみたいことが、そこかしこで見つかるはずだ。(上原由迩)

(左)素盞雄神社。(右)橋本左内の墓旧套堂

(左)素盞雄神社。(右)橋本左内の墓旧套堂


ビル荒川区立南千住図書館

利用案内
開館時間:火曜~土曜日 9:30〜19:30、日曜・祝日・臨時開館日 9:30〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日以降の平日)、館内整理日(第2木曜日)、年末年始・特別整理日

アクセス
住所:〒116-0003 荒川区南千住6-63-1 地図
電話:03-3807-9221
ホームページ:https://www.library.city.arakawa.tokyo.jp/liblist010.html